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わたしたち根っこで繋がっている

- 都市部からIターン。それぞれの夫婦で「食のこれから」に挑戦中! -

有機農家

中川 薫 / 狭間 瞳 / 田村 茉里奈

■ 養父市に移住して農業を始めたお三方! 自己紹介をお願いします。

田村さん)6年前に夫と一緒に養父市に移住しました。大阪府出身で、20歳の時に田舎暮らしをしたいと思い、奈良県の赤目自然農塾で自然農を、山口農園で有機農業の研修を受け、研修先で出会った夫と結婚。今はハウスと露地合わせて約60aの畑で葉物と季節の有機野菜を多品目育てています。子どもは3人いて、7歳、5歳、1歳です。

 

中川さん)同じく大阪府出身。養父市には9年前に来ました。結婚10年目です。夫婦でハウスと露地の約60aで有機野菜と盆花の栽培をしています。4歳の子どもがいます。

 

 狭間さん)神戸市出身です。移住して4年目になります。こっちに来たタイミングで結婚し、2人で農家として独立しました。うちもハウスと露地、約40aで季節の有機野菜をつくっています。子どもは2人。2歳と0歳です。

 

■ 有機農業って化学肥料や農薬を使わない環境に優しい農業ですよね。

  安全安心な野菜づくりをしているんですね! 養父市で始めたきっかけは?

 

田)農業やるなら有機農業がいいと思っていました。場所を探していた時に大屋町が「有機の里特区」に指定されていて、ちょうど有機農業を推進していたんです。神戸大学名誉教授の保田茂先生が「おおや有機農業の学校」を大屋町で開いていて、有機農業に理解のある地域だというのを感じました。夫のおばあちゃん家が養父市大屋町だったこともあり、ここに決めました。

 

中)うちは、主人の祖父母の家が養父市だったところからです。まずは家を継ぐのが一番で、養父市に来ました。その頃、主人は自営業がしたくて。で、田舎で起業するなら「農業するかー」って。せっかくやるなら、環境にも人にも優しい有機農業がいいなってことになりました。農業経験がなかったので、引っ越す前に夫婦揃って1年間農業研修を受けました。

 

狭)私たち夫婦は、都会に住んでいた時に飲食関係の仕事をしていました。お客さんと接する仕事が多かったんですが、旦那さんが「もっと素材に寄った仕事をしたい。野菜をつくりたい」って言い始めて。農家になるための準備を始めたんです。兵庫県の就農研修を1年間受けて、どこでしようとなった時に、候補のひとつに挙がったのが養父市。私たちも有機農業がしたかったので、「おおや有機農業の学校」の話は自然と耳に入りました。それで、引っ越す前に有機の学校に通い始めて。大屋に足を運ぶ度に、田村さんや中川さん、市内で有機農業している農家の方と知り合って。知り合いがいない地域でみんなに優しくしてもらって、人とのご縁がきっかけで、大屋でやろうと決めました。

 

■ みなさん、養父市大屋町で畑をしているんですね。会うとどんな話をしますか?

   本業、副業いろんなことをしているみたいですね。休みはありますか?

 

田)2人とはつくっている作物が似ているので畑の話とか、子育ての話をするかな。

休みは〜、決めて休んだりはするけれど、農家はやっぱり忙しい。うちは冬も葉物があるから農閑期はありません。副業も含めれば、夏の農繁期と同じかそれ以上、雪降る但馬でも稼げます! 副業として夫はスキー場に仕事に行ってます。1年通して、近所の牛飼いの手伝いにも行っていて。もともと、夫は競走馬の世話をしていた経験があるから、動物と関われる時間は楽しそう。私も、大豆栽培から味噌をつくるグループに参加して、田舎でしかできない仕事を副業にできて、充実していると感じます。本業も副業も自分の好きなように自由にできてる! 自分たちの好きなことだから続けられますね。

 

中)2人とは所属している農家のグループがほぼ一緒なので約束してなくても会えます。地域で農産物を販売するイベントがあるので、会議とかイベントでもよく顔を合わせます。最近どう〜なんて話したりして。

 自営業は仕事とプライベートの線引きが難しい。休みはなるべく取るようにはするけど、天気に左右される仕事なのでそれ次第かな。安定しないけれど、好きなことをやっているから楽しい。自営業は農業のやり方でも時間でもそもそも何でも自由にできるのが魅力です。子どもが小さい時には、子どもを乗せた車を畑に横付けして、仕事しながら子どもをみていました。頼る人がいなくて大変だったけど、子どもの小さい頃をみれてよかったなと思っています。

 

狭)先輩農家の方が近くにいて心強いです。プライベートでもご飯を食べる機会を作ってもらったり、子どもが産まれた時に家に駆けつけてくれたり。交流があって嬉しいです。

 うちも農業の他に、味噌のパック詰めのバイトに行ってます。旦那さんも冬はスキー場に行きますね。でも、本業が農家なので結構融通きかせて働かせてもらっています。ありがたいです。

 仕事の仕方でいうと、うちは休む日は休むって決めています。休まないと体が持たない。農家だからって365日働くんじゃなくて、サラリーマンと同じように休日は決めて、遊ぶ日は遊ぶ。そういうところをきちっとやっていきたいねって旦那さんと話しています。

 

 

■ 大屋町で農業を始めてよかったこと、農家でよかったなーって思うことは?

  また、今後の目標も教えてください。

 

田)大屋で農業をやっていて贅沢だなと思うことは、水が豊富で綺麗なこと。あとは、ありきたりだけど、農家は新鮮な野菜が食べられるのが何よりも贅沢ですね。

 今後の目標ですが。うちは有機JAS認証を取って野菜の販売をしているけれど、自然栽培も就農当初から実践していて、根本的な考えは自然本位に近いので、最終目標は無農薬無肥料栽培を目指しています。豊かな自然を次世代の子どもたちに守り繋ぐために、いずれは、農業だけじゃなく、奥山保全、環境学習、自然体験などと絡めてアプローチできるような活動をしていきたいです。

 

中)農業していて一番の醍醐味は、作物を通して四季を感じられること、自分たちが栽培したものを家の食事に取り入れられること。それと、少しズレるかもしれませんが。自宅から離れたところに畑があって、昼食を外で食べることがあって、軽トラで桜や紅葉を見ながらお弁当を食べる時間は贅沢というか、癒されます。

 今後の目標は、まずは自分たちが立てた売上目標を達成するのが第一です。将来的には自宅の古民家を生かして人が集まる場所を作りたいです。

 

狭)養父は綺麗なお水と空気で野菜を育てられる、夏は昼と夜で寒暖差が大きいので、より旨味のある野菜がつくれる場所だと思います。技術面はこれからもまだまだ高めるとして、自分が美味しいと思える野菜づくりがしやすい環境だと思います!

 今後の目標は、農業が儲かる仕事だって示したい。儲かる農家のモデルになりたい。それと、有機野菜って普通の野菜に比べると値段が高くてお客さんが買いにくい。安全安心で値段が高い野菜をつくるんじゃなくて、安全安心だけど誰でも手に届く野菜を目指したい。多くの人に食べてもらいたいです。

 

■ 入り口や最終目標はいろいろだけど、近くに志を持った同世代の仲間がいて心強いですね!           みなさん、これからも頑張ってください! 応援してます!

 

 

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