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ウンコまみれになることは

普通のことである

- 牛飼い始めて1年目 -

但馬牛生産農家

田村 牧子

■ 養父ではどんな仕事をしていますか?

 2018年4月から実家の牛飼いを手伝い始めました。両親と私の3人で母牛42頭とその子牛23頭、合わせて65頭の世話をしています。朝晩のエサやりや牛舎の掃除、牛の手入れなど、牛漬けな毎日を過ごしています。

 

■ 牛飼いを始めたきっかけは?

 小さい頃から家に牛がいるのは当たり前だったんですが、始めるまではまったく畑違いの仕事をしていました。高校卒業後からすぐに県外に出て、鍼灸師の学校にいって整形外科に就職もしました。8年前に実家に帰ってきてからも看護助手の仕事をしていたんです。

 私、小学生の子供がいるシングルマザーなんですが、子育ても落ち着いてきたし、もう1回自分のやりたいことをやろうって思い始めた時に父親から「しばらくの間、牛飼いの仕事を手伝ってもらってもいいよ!」と言われたのがきっかけで、それもアリだな〜と手伝い始めました。

 

■ 牛飼い1年生。やってみてどうですか?

 1年やってみて、牛飼いの仕事がどんどん楽しくなってきました。最初は、牛が怖かった。言うことも聞かないし、勢いに押されていました。最近は慣れてきて、牛を引っ張って歩けるようになりました。牛が私を「エサをくれる人だ」と認識してくれるようになったと思います(笑)。

 うちの家では「働かざるもの食うべからず」。小さい頃から、朝の牛舎の掃除は日課でした。うんこまみれは当たり前。牛の寝床がきれいになって、牛が気持ち良さそうにごろ〜って寝ているのを見たら、ヨシッと思います。

 

■ 牧子さんはシングルマザーですよね。養父での子育てどうですか?

 正直、大変とか不便とかはあんまり感じません。自営業で、家で仕事ができるから、学校の行事や子供の具合が悪くなった時でも都合が付けやすいです。学校から子供が帰って来ても家族みんながいるから子供も安心。家に私がいなくても「畑かな?牛舎かな?」みたいな感じで。学校からの帰り道や、休みに外で遊んでいる時は近所の方が声をかけてくれて皆に見守られている感じがあります。車通りも少ないから危なくない(笑)。

 実家で暮らしていることは大きいかもしれないですが、シングルマザーでも安心して子育てができています。星空がきれい、田んぼに水を張るとカエルの声が聞こえる、野菜も豊富!そんな環境で子育てできることがいいなあと思います。

 ただひとつ。学校や地区の役員に当たると、行事の時には忙しいなと思う時もあります。でも、みんなが協力してくれるので1人でも頑張れます!

 

■ 今後の抱負は?

 父親は自分の代で牛飼いを辞めるつもりだったんです。でも、今いるお母さん牛は父が何十年もかけて育ててきた但馬牛。父の代で辞めるのはもったいないという気持ちもあって始めた牛飼いです。これからも、元気で丈夫な牛を育てていきたい。「田村さんところ、娘が入ったけど大したことないなー」と言われたら悔しい。「女の人だけどやるなー!」と思ってもらえるように努力したいです。

 じつは、来年からは手伝いだけじゃなく、自分の牛も持つ予定です。責任が増しますが、頑張ります!

 

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